大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学

形式名詞

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私:方言学における形式名詞の意味という事で、昨日に少しばかり気づいた事がある。
君:どうせ大したことではなさそうね。一言でお願いね。
私:発端は博多方言・方言文末詞「と」博多方言・方言文末詞「と」2。ここでは準体助詞の用語を用いた。佐七はこの語源は「こと事」であると確信する。「ト」を「事」に置き換えてみよう。
君:やってみるわね。
「今、 若い人みたらさ、 あー、 やっぱ、 私も、 若いときは、 高い事 (=靴) ばっかり履きよったけどねー。」
「私ん事 (=携帯電話) やないよ」
「ご飯炊くね、 あげな事 (=道具) やらいる。」
「にわかのような事 (=遊び) もあると?」
「玉屋が動物園やった事知っとる?」
「しかもサイドブレーキ下りん事。」
「それ毎週土曜日きてやりござった事。」
「薩摩弁がね、 反映しとう事。」
「なんで電話かかってくる事?」
「「よかばい て言わっしゃーけどそげんするやつがおる事タイもう」
「あたし何回も聞く事ヤン。」
なるほど、意味は通るわね。音韻学的にもあっているし。
私:従って博多方言文末詞「と」は準体助詞であり、その語源は形式名詞「事」という図式が出来上がる。
君:準体助詞と形式名詞は共に非自立語であるという強烈な同類項である、つまりは同一品詞である、という結論になるのね。なるほど。
私:実はもうひとつの例があるんだ。土佐方言の文末詞「く」、おらんく(=私の家、土佐)おらんく(=私の家、土佐)2。こちらも数年ほど考えたが、文末詞「く」の語源は形式名詞「ところ」であると佐七は確信している。
君:つまり土佐の文末詞「く」と形式名詞「ところ」は非自立語であるし、同一品詞であるという結論ね。
私:その通り。要は日本語としては同一の文法、中古語としては博多も土佐も大和も同じ音韻であったものの、のちの時代にはも大和・博多で「こと・と」の対立が生じ、大和・土佐で「ところ・く」の音韻対立が生じたのでは、という事。「こと・ところ」共に山田文法でいう所の形式名詞という結びつきがある。
君:そもそもが、語源がそれであっているのかという大問題が証明されていないし、たった二つの例ではね。
私:根気と全国の方言文末詞を調べ上げて行けば、要は形式名詞の方言文末詞化の例が見つかるかもしれない。この思い付き、一応は本邦初公開です。
君:藤原与一先生にお会い出来ていたらね。残念だったわね。 ほほほ

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