佐七辞書にあばよを記載し、
語源諸説を紹介しました。
音韻からこれら語源説を考察しますと、いくつは
怪しいという事になります。
まずは前知識、共通語の俗語とも言うべきこの言葉ですが、アクセントは
あば▼○
あばよ▼○○
ですね。( 日本語は高低アクセントです。
強弱アクセントじゃないから間違えないでね。)
そして、飛騨方言の女性の言いまわしでは、
あばえな▼○▼○、です。他の例としては、
いいですねえ、と言う意味で、えええな▼○▼○、
などとも言います。共通語にはない、飛騨方言独特の
アクセントではないでしょうか。
さて、各種語言説のアクセントを展開しますと
★あんばいよう説
あんばい○●▼○
あんばいよう○●●●▼○
あんばよう○●●▼○
あばよう○●▼○
★喃語説(両京俚言考)
あばあば
○○○○
★またあはばや(俗語考)
またあはばや○▼○▼○○
あはばや○▼○○
★彼・あ、はヨ(毎日の言葉、柳田國男)、
あ▼
あは▼○
あはよ▼○○
★さらば(日葡辞書、西鶴)、
さらば▼○○
★おさらばよ(洒落本)
おさらば○▼○○
おさらばよ○▼○○○
さらばよ▼○○○
★重言アバアバ(俚言収攬)
あばあば▼○▼○
もはや明らかですね。
つまり、柳田國男・"彼はヨ(あはよ)"説と(お)さらば説のみが、
音韻がピタリとあっているのです。他の説は落第です。
従って、大西佐七は柳田國男説をまずは確信・支持します。
( きょうの佐七はこわい、なんて思わないでよ。 )
故・柳田國男先生へ、相手に向かって、彼(遠称・あ)はヨ、というのですから、
たとえば、奥さん元気?、とか、借金かえせた?、等々
その場その場でどんな意味にでもなる言葉なんですよね。