大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

ゆい(結)

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私:「ゆい(結)」は、元々は農村社会における共同作業や相互扶助の慣行を指す言葉。全国各地にみられる。飛騨地方も「ゆい」。ただし飛騨方言では「ゆー」という事もある。つまりは飛騨方言における方言量は2。
君:これは「ゆい」から「ゆー」への音韻変化という訳ね。
私:その通り。古語では「ゆひ」にて平安時代の飛騨方言はこの音韻であった可能性がある。ただし、平安時代に中央、つまり京都、でハ行転呼という大事件が起きた。平安時代には、律令制が崩壊するまでは、飛騨から京都へ述べ数万人規模の飛騨工(たくみ)が都の造営に動員されたので、飛騨方言の音韻は都からの直入の可能性がある。一般的には、つまりは全国的には「ゆひ」から「ゆい」に徐々に音韻変化したのはおおよそ室町時代から江戸時代にかけてだろうね。
君:となると飛騨方言で「ゆい」から「ゆー」に音韻変化したのは近世から近代辺りね。
私:その通り。正確な年代の推定は不可能。音韻変化は、古代・中世・近世・近代・現代くらいに分けて考えておけば十分でしょう。ところで全国での「ゆい(結)」の音韻変化となると、ざっと五十種類くらいかな。詳細は省くが、「い」「いー」「いぇー」「えー」「よー」、等々。及びこれらの音韻に方言接辞が下接したもの。この方言接辞がまた様々で、「こ」「かい」「しごと」「かき」「かわし」等々。
君:なるほど相当の数の組み合わせね。
私:細かい事を記載しても意味がない。要するにこのように爆発的に方言量が増加したのは江戸時代、幕府の政策により人の行き来が厳しく制限され、農民は土地から一歩も出る事が出来ず、自然発生的に方言量が増えたから、という事じゃないかな。間違っていたら御免なさい。沖縄方言に「いーまーる(順番に手伝いあう)」という動詞がある。結+回る、が語源だ。
君:なるほど、南西諸島にも「ゆひ」の音韻が残っているのね。つまりは全国共通方言ね。 ほほほ

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