大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音韻学

あぬかさ

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私:土田吉左衛門「飛騨のことば」にはお世話になっている。飛騨方言のバイブルといってもいいね。間違いだらけとも言えなくもないが、語数が約一万には脱帽。ケセン語に似たような辞典。「あぬかさ(=仰向け)」の記載があり、思わず筆を執った。
君:全国的に珍しい音韻変化かしら。
私:その通り。俚言のような感じですね。そもそもが日本語で「あぬ」の二拍で始まる品詞が幾つあるのか、という命題だ。結論を一言、がはは、皆無に近いんだよ。只今確認したところ、日国に記載が無く、然も方言学資料では沖縄首里方言に集中している。彼如の当て字が見出しだ。但し「あのような」の意味。「あぬかさ」は日琉祖語かも、と一瞬、心に戦慄が走った。
君:まだるっこしいわね。何が言いたいわけ?飛騨方言は「あのような+かさ」が語源ではないのよね。
私:音韻「あぬかさ」は大発見だ。語源は現代語から類推するしかないが、「あおむけ」からの派生だろうね。つまりは「あふ」+「むく」。m ->n の子音交替であるとすると「あぬく」。この動詞なら周防方言に出てくるんだがな。但し、意味は「だしぬく」。古代の飛騨に動詞「あぬく」があったとすると未然形に接尾語「さ」にて「あぬかさ」の出来上がり、という事ではなかろうか。
君:アクセントは?
私:そりゃもう、「あおむけ」と同じで、平板で決まりだ。
君:ほとんど使った事がないけれど、あなたの幼少期を思い出してビビッときた飛騨の音韻というわけね。 ほほほ

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