大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 副助詞
副助詞「つ」
私:昨日の現代仮名遣い「ずつ」の話の続きだが、飛騨方言の副助詞としては発見第一号、「つ」がそうだった。これって若しかして古代の助数詞「つ」が来ているのかな。記歌謡29、尾津の一つ松の歌(比登都麻都)と日本書紀歌謡113「耶麻鵝播爾 烏志賦柁囉都威底 陀虞毘預倶 陀虞陛屡伊慕乎 多例柯威爾鶏武」に古代の助数詞「つ」があるが。
君:ひとつ、ふたつ、みつ、・・・確かに「つ」は古代の助数詞だわね。記紀歌謡にあるのが動かぬ証拠ね。
私:安易な発想という事にはなるが、この古代の助数詞「つ」の重畳語「つつ」が副助詞「づつ」の語源ではなかろうか。そのように説く語源資料が多い。尚且つ、飛騨方言では古代の助数詞「つ」がそのまま副助詞「つ」へと品詞の転生が生じたのでは、と考えるとまことに愉快だ。
君:実例がいいわよ。
私:お小遣いが千円あるけれど、一度には使わないで百円ずつチビチビと使うとしよう。飛騨方言では「百円つ、使う」という。読点(とうてん)を入れたのは「つ」が尾高アクセントだから。二つ毎に並べる要求文としては「ふたつつ、並べてください」というのが飛騨方言です。
君:こうなってくると飛騨方言では「つつ」という副助詞が存在するような気もするわね。
私:いやいや。「つつ」は助数詞「つ」+副詞「つ」に分解できるでしょ。「ひとつ」は和語の数表記「ひと」+古代の助数詞「つ」です。
君:でも、リズムとしては「ひとつつ」は「ひと」+「つつ」、「ふたつつ」は「ふた」+「つつ」よね。
私:そうだね。「みっつずつ」のリズムは「みっ」+「つつ」で、「みっつつ」は最後の「つ」にアクセント核があるね。飛騨方言では「壱ダース毎に」という意味で「じゅうに/つつ」と言う。「じゅうふたつつ」とは決して言わない。
君:ほらね。飛騨方言「つつ」は複合助詞たる副助詞で、古代の助数詞「つ」+(「ずつ」の短呼化たる)副助詞「つ」、という事ね。副助詞「つ」は二種類の体言を修飾する事が出来るわね。二つとは、★あらゆる整数(例えば125、一万)及び★数の僅少を表す名詞(例えば、少し・少々・ちょびっと・ちょっと・幾らか・ちょっぴり・僅か(わずか))。
私:なるほどね。但し、数の僅少を表す名詞といっても、副助詞「つ」は、やや・聊か(いささか)・僅かに・微量、などは修飾できないね。何故だろう。
君:実は「やや」は副詞「や彌」の重畳語なのよ。「や八」と同源で、「ますます」「行き渡る」という意味。万葉18など。「いや」の形も多いわね。従って更に「つ」が下接するのは論外。僅か・微量については形動ナリの語幹だからかしらね。「いささかも」という否定文の形で寧ろ使われる言葉だし。
ほほほ