大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学
母の言葉2
私:母が入院し、見舞いにいってる。母は90過ぎの人で伝統的飛騨方言の話者。
君:会話は可能なのね。
私:脳梗塞のようたが、失語は免れている。構音障害があり、聞き取りにくいが、辛抱強く聞けば、全てわかる。
君:それはお見舞いのし甲斐があるわね。
私:その通りだ。ありがたい。呑み込みがつたないので、トロミの水分を呑み込む訓練をしている。私がトロミが入った器を手に取り、「たべるがえな(食べますか)」と聞いたところ、「おりゃええで、あんた、たべないよ」と言われてギャフン。
君:「私はいいから、あなたがお食べなさい」という意味ね。
私:そう、真顔で言っているのでギャグではなく、せん妄かね。いやいや、意外や、お袋一流のギャグだったのかもしれないね。
君:思わず笑ってしまうわね。
私:せっかくだから飛騨方言のレクチャーを。「たべなさい」が飛騨方言では「たべない」になる。「なさる」は、動詞「なす」の尊敬語であり、補助動詞として使われる際は、他の動詞の連用形に付いて、動作をする人への敬意を表す。
君:息子に敬語もお使いとは、大したものじゃないの。
私:まあね。単なる口癖だろうが。蛇足ながら「おつけまんま茶くだい」の通りで、飛騨方言では「ください」が「くだい」になる。
君:ラ行動詞「~さる」の命令形「~され」が、「~されい」になり、更には「され」の2モーラが脱落したという事ね。
私:そう。規則的な音韻対応がある。
君:といってもたった二つの動詞だけれど。
ほほほ