大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語法・各論
おつけまんま茶くだい
私:飛騨方言「おつけまんま茶くだい」は独身の男が「はやく結婚したい」という意味で用いる。
君:戦前・戦後あたりまでの言い伝えのフレーズのようね。意味が不明だわ。
私:「おつけ」は味噌汁とか、澄まし汁とか、汁物全般を示す飛騨方言。
君:漬物の意味ではないのね。
私:そう。語源のヒントは女房詞。漢字で書くとバレバレ、日葡辞書にも Votsuqe の記載がある。つまり中世の畿内方言。
君:女房詞が畿内に広まったのね。ご飯に付けるものだから、御付が語源だったのね。
私:ご名答。「まんま(ご飯)」「茶」については説明の必要はない。「くだい」は「ください」の意味です。
君:つまりは、ご飯に汁とお茶をください、という意味、それだけの事だけれど、どうして結婚したいという意味になるのかしら。
私:飛騨という地域柄だね。一言で言えば男尊女卑、食事のマナーだが、御膳を出したり、ご飯をよそってあげたり、御茶を出したり、これは全て一家の主婦の仕事で、亭主の仕事じゃないし、男の子達も決してそんな事はしない。
君:なるほど、一家に主婦が一人の場合に、直訳すると、例えば成人した長男が使う「早くワンセットの食事の準備をしてくれ」という意味のフレーズだけれど、もうひとり女手があるとその食事の準備が早く進むので、つまりは新妻をめとりたい、という長男の意思表示のフレーズという訳ね。
ほほほ