大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

日本語の遺伝分類

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私:言語分類の記事の中で言語学には Genetic (or Genealogical) Classification と言う用語がある事を書いたが、初めてこの用語に接した時は少なからず抵抗を覚えた。
君:どうして。
私:言語学の対象は人類。そして人類学で遺伝と言えばDNA系統樹の事だからね。大きな違いがある。
君:なるほどね。ヒトの遺伝といえばDNA、つまり即物的な事象であるし、人類が持つ言語文化に即物性はないわ。
私:言語は大脳の言語野に宿るものだから、ニューロンの構築が言語の本質。このような観点からは即物性があるともいえるけれどね。
君:今回のテーマは、察するに日本語の歴史ね。簡単にお願いね。
私:人類の大陸移動と共に言語は広まった。日本列島が大陸と繋がってヒトが移り住むようになったのは三方から。南方と朝鮮半島と北方。氷河期に海は凍っていたのでヒトがベーリング海を渡って北米大陸に移るのは容易だった。ところがこの氷河期でも津軽海峡とケラマギャップは凍らなかった。それでも北方民族は津軽海峡を南下し、南方民族は慶良間諸島を北上した。朝鮮半島と九州など陸続きも同然だったという事。原日本語は peninsular Japonic と言って朝鮮半島で生まれたらしい。これが南方言語と融合し日琉祖語となった。アイヌ語は日琉祖語とは融合せず、完全に異なる語族です。北海道、東北の地名にその痕跡がみられるが、地名は言語ではない。
君:つまり単一民族の単一言語というわけね。
私:単一民族と言う言葉は正しくない。日本民族のDNAは我々がアジアの人種のるつぼである事を教えてくれる。日本人がもっとも遺伝的に近いのが韓国人です。単一言語は正に正解で、日本語の遺伝分類となると、ひとつだけの分類という事になる。
君:話が簡単すぎるわね。
私:各地に方言があるのは遺伝学で言う所の一塩基多型(SNP(Single Nucleotide Polymorphism:スニップ)のようなものだよ。生物学でいう所の亜種。
君:なるほどね。
私:ところが、この亜種というものが曲者。文化の中央で次々と新亜種が出来て地方に広まった。世にいう方言周圏分布論。これが方言発生の原動力。また各地で突然変異のようなものも出てくる。俚言だ。中世までは京都が中心だったので、畿内方言とその古い形が地方に方言として残るという構造があった。江戸幕府の誕生が方言学ではエポックメーキングだった。幕府は人の自由な行き来を禁止したため、全国各地が方言だらけになった。明治政府が統一された言語、日本語を普及させるのに大変な苦労をした。つまり亜種は悉く滅亡し、日本全体が東京語一色になった。八丈島や南西諸島で話されていた伝統方言は絶滅の危機にさらされている。
君:東京語一色でも、ネオ方言・新方言・方言コスプレ、等々の文化は健在で、やはりいつも亜種が出てくる日本語なのよね。 ほほほ

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