大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記
おーぐそながし,べこべこ
私:「いろは歳時記」の一句、「おーぐそながし べこべこ 水をかぶっとる」。これは春の句。冬の終わりを告げる句といってもいいね。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:この句は飛騨方言オンパレードだね。「おーぐそながし」だが、漢字では大糞流。早春にポカポカ陽気となり、山の雪が溶けだして小川の水量が増えるさまを言う。飛騨方言「べこべこ」はネコヤナギの木の事。つまりは・・・いよいよ春になって小川の水かさが増し、ネコヤナギの木が水をかぶっている・・という意味。
君:いかにも春の訪れといった句ね。
私:現代仮名遣いの観点からは「おーぐそ」の表記は問題じゃないかな。
君:小学一年生問題ね。「大きい」は「おおきい」、つまりは「おおぐそながし」
私:歴史的仮名遣いならば「おほきい」。いずれにせよ、「おうきい」は間違い、「おーきい」はくだけた言い方で文語的とは言い難い。俳句や川柳に用いるべきではないだろう。
君:俳句といえば風流。従って、「大糞」ではネコヤナギが台無しね。
私:風流に草木の話とまいろう。「べこべこ」についてはここに書いた通り。要するに僕が言いたい事はひとつ、方言、つまり言葉とは素朴なもの。直感でピーンと来るものが多い。
君:「ぬくめどり」は冬の季語よ。
私:「ぬくめどり」は鷹が捉えた小鳥を意味するが、これが意味が転じて、親鳥がひなを羽根の下に入れて温める事、盗人仲間の隠語で貞女を示す事をいう。
君:あらそうなの。盗人が貞女を「ぬくめどり」、まあ怖い事。
ほほほ