大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 地名学
飛騨 or 斐太(2)
私:前回の投稿[飛騨 or 斐太]で、表記の歴史について少しふれた。
君:古代の音韻[ヒダ]があり、漢字を当てたというものね。
私:そう。古代の日本に文字は無かった。万葉仮名、熟字訓など、工夫を凝らした先人達の苦労がうかがい知れる。
君:でも、随分と平凡なお話ね。
私:早速に本題だが、大宝令で「飛騨」の言葉が制定される前は「斐太」か「斐陀」だった。何故ですか。
君:うーん、つまりは古代に「ひた」という音韻が存在し、「斐太」の字を当てていたものの、その後に「ひだ」という音韻に変化した。つまりは忘れ去られた音韻「ひた」、これにより「斐陀」という当て字が新たに誕生したという事かしら。
私:そんな事だと思う。
君:でも、そのくらいは小学生でも思いつきそうな事よ。
私:だろうね。
君:やはり、お話が単純すぎるわ。
私:では、アイヌ語のお話でも。
君:あらいやだ。簡単なお話でお願いね。
私:うん。アイヌ語といっても諸言語があるが、アイヌ語ではタ行濁音で始まる語はひとつもなく、ダ行の発音はみな、タ行となる。
君:まさか、古代に存在したであろう「ひた」の音韻はアイヌ語由来と仰りたいのかしら。
私:主張しているわけではありません。仮説です。「ひた」は飛騨地方に縄文期から存在していた音韻なのかな、とフト思いついたという事。
君:仮説ではなくて、単なる思い付きね。
私:妄想がさらに膨らむとなると、古代の飛騨の人々は「ぴた」と言っていたのかも。上田万年の「P音考」という、有名な論文がある。
君:ピカッと光るから古代の動詞は「ぴかる」、これが後の世に「ひかる」に音韻変化したのよね。上田先生はよくそんな事を思いついたわね。
私:つまりは古代の飛騨の言葉には基層言語としてアイヌ語があり、元祖は「ぴた」、続いて「ひた」、奈良時代からは「ひだ」、と言う時系列で音韻変化したのかなと思ったんだよ。/h/i/t/a/ or /p/i/t/a/ このような音素解析で両語ともアイヌ語の音韻として矛盾はない。繰り返しになるが、アイヌ語ではタ行とダ行を区別しない、等々、アイヌ語を少しばかりかじり始めた所。
君:基層言語説、響きはいいけれど、何でもあり説という事ね。
ほほほ