大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

おき(=おきび)

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私:共通語「おきび熾火」の事を飛騨方言では「おき」という。共通語と飛騨方言では拍数の違いがあるが、但し、両者ともに平板アクセントという強烈な同類項。つまりは文法的アクセント学的解釈としては、複合名詞の後方成分が脱落してもアクセントは変わらない。平凡。
君:そんなアクセントの事はいいから語源はどうなっているのかしら。
私:はいはい。まずは古語。「おきひ熾火」は古語。和名抄(承平年間 931年 - 938年)、古今(905年(延喜5年))、落窪(10世紀末)、つまりは平安初期の中央の言葉。「おき」も同時代。類聚名義抄(11世紀末から12世紀頃)、打津保(10世紀後半)、沙石(鎌倉時代後期)。
君:類聚名義抄って漢和辞典でしょ。「おき」の漢字は何?
私:そりゃ熾で決まりだ。と言いたいところだが、熾・燻の両論併記。
君:茶化さないで、いったい何を言いたいのかしら。
私:「おきひ」「おき」両者が何を示すのか、実にファジー。常識的には真っ赤に怒る炭火といいたいところだが、炭火そのもの、炭の灰、炭とは関係なく燃え盛る炎、等々、微妙です。飛騨方言では、ずばり、ほおば味噌を作る練炭の炭火という解釈でどうやろか。
君:ためぐち、というか、飛騨方言やめて。
私:失礼しました。ほおば味噌を作る練炭の炭火という解釈でよろしいかと思います。
君:脱線し過ぎね。肝心の語源学になっていないわよ。
私:失礼しました。「おき」が「おきひ」の短呼化、これは疑うべくもない。従って「おき」の語源は「おきひ」。逆はあり得ない。
君:語誌的には「おきひ」が先行するので、まぎれもない事実よね。「おきび」は現代語に生きているけれど、平安の「おき」が飛騨方言として生き延びているのよね。
私:いや、そうとは限らない。平安の「おき」が現代まで生き延びた可能性は高いが、近世語なのか近代語なのかすら誰にもわからない。理由はひとつ、要は文献が無いから。おっとどっこい、「おき」は全国共通方言です。つまりは重要情報。ただし地域は割愛させていただく。本質的な事ではないからね。つまりは方言ロマンの馬鹿佐七野郎的には、これらの地方全てで平安の「おき」が生き延びたのではと推察する。うっふーん
君:そんな事もどうでもいいから、まだ肝心の語源に迫っていないわよ。
私:古来・・・語源好事家がいらっしゃって、置く+火、とか、「ほ火」+「き木」とか、結局は不明です。佐七的には「置く」連用形説に一票。理由はひとつ、「おく置」は(重要な)和語動詞です。ご興味ある方は万葉集へゴー。
君:・・・許等騰波奴 紀尓茂安理等毛 和何世古我 多那礼之美巨騰 都地尓意加米移母(言とはぬ木にもありとも我が背子が手馴れの御琴地に置かめやも)、812ね。・・あなたが大切にするものを私も大切にします、古代にもあったのね・・ザ・熱烈愛。 ほほほ

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