大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

おばえる(=追う)

戻る

私:共通語「追う」の事を飛騨方言では「おばえる(上宝村)」。少し訛っているね。土田吉左衛門・飛騨のことば、に記載がある。小学館の方言大辞典にも記載はある。
君:死語に近いのじゃないかしら。
私:令和の時代、しぶとく生き延びている飛騨方言もあるが、死語になった言葉も多いだろう。死語について語る事はナンセンスだとでも言いたいのかい?
君:ほほほ、すねなくてもいいわよ。わざわざ書き始めたところを見ると、古語のお話にもっていきたいのね。
私:その通り。動ハ四「おふ追」は万葉集4130 波利夫久路 應婢都々氣奈我良 佐刀其等邇 天良佐比安流氣騰 比等毛登賀米授 (針袋帯び続けながら里ごとに照らさひ歩けど人もとがめず) にもあるから和語動詞
君:なるほど。連用形が「おひ應婢」、間違いないわね。あらあら、「照らさひ天良佐比(見せびらかして)」、二か所も「ふ」をお使いとはね。
私:うん、そして後代に「おふ」から「おはふ」が生まれた。沙石集(鎌倉後期)。
君:なるほど、お見事。接尾語「ふ」ね。未然形に接続して動作の反復を示すのよね。
私:その通りだ。「ふ」は現代語にも結構、生きているね。たたかふ戦・叩き続ける事、とか、季節が移ろう、とか。上代の「ふ」は多くの動詞に事由に付く傾向が顕著なので、助動詞(ハ四)に分類されるが、しかし平安時代になると限られた少数の動詞にしか付かなくなるので、単なる語の構成要素とみて、接尾語に分類される。
君:なるほど、上代の「おはふ」が濁音化して五段活用になって飛騨方言「おばえる」になったのでは、と推論したのね。
私:たったの二段階だから、如何にもありそうな話。
君:方言の悲しさ、文献がないので語誌的に証明できないのよね。
私:ご指摘の通りです、おじんギャグ。
君:私的な考えね、おばんギャグ。 ほほほ

ページ先頭に戻る