大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

かつねる(=かつぐ)

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私:飛騨方言に他下一「かつねる(=かつぐ)」がある。
君:共通語「かつぐ」が語源である事は明らか、面白くもなんともないわよ。
私:いやいや、簡単に決めつけないでくれ。共通の語根「かつ」が存在するのは明らかだが、語源論の立場からじっくりと考えてみよう。
君:全ての言葉の語源は古語ね。
私:その通り。中世語の他カ下ニ「かたぐ・かたぐる擔」があるが、これは「かた肩」に接尾語が付いた言葉である事には異論がないでしょう。従って「かつぐ」の語源は「かたぐる」。また、全国の方言情報も見逃せない。地図はここ、『日本言語地図』第2集の 第66図第67図第68図
君:情報が多ければいい、ってものじゃないわ。簡単に説明してね。
私:はいはい。こういう地図を見続けていると本質が見えてくる。つまりは語根の系統樹が思い浮かぶという事だが、「かた」「かつ」「になう」。「かつ」は「かた肩」の転である事は明らか、「になう」は「に荷」+接尾語「なう」だ。日葡には Cataguru があり、中国・四国・九州の広い地域で「かたぐ」が方言として残っている事は見逃せない。東京はじめ東日本は広く「かつぐ」の地方。つまりは東西対立があるんだ。但し近畿は「になう・いなう」だ。富山・新潟に「かたねる」がある事も見逃せない。
君:つまりは飛騨方言「かつねる」は中途半端な音韻、日本の真ん中というような音韻ね。
私:まさにそういう事。「かつねる」は実は東北のごく一部にも存在するが、飛騨の「かつねる」は近隣県と比べても特異的。つまりは飛騨方言「かつねる」の語源は「かた肩」+接尾語「ねる」。
君:本日の結論は、共通語「かつぐ」・飛騨方言「かつねる」の共通語弦は「かたぐる」であり、接尾語が「ぐる」から「ぐ・ねる」に変化したのでは、と言いたかったのね。 ほほほ

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