大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
どんびき(=ひきがえる)
私:「ひきがえる蟾蜍」の旧字は「ひきがへる」で、これが古語。飛騨方言では「どんびき」。「ひきがへる」は和漢三才(江戸時代中期)などに記載がある。毒液が「がまのあぶら」として有名。そして「ひきがへる」の古名は「ひき」。「ひき」の記載は本草和名(延喜末年頃、920~923)。従って「どんびき」は接頭語「どん」+古語「ひき」の複合名詞だと思う。
君:なるほどね。すきすきビッキ先生という漫画があったわね。
私:ビッキ先生の苗字は川津だったね。「かえる」の古名というか、万葉集に出てくるのは「かはづ」だけ。松尾芭蕉に至るまで、歌語・雅語では「かはづ」が用いられ、古来から「かへる」は俗語。ただし、「カエデ」の古名を「かへるて(加敝流弖)」という。和語に「かへる」という音韻があったのでは、というのが通説。「かへるて」は万葉集に二首。蛇足ながら山之井(やまのい、俳書、4巻、北村季吟撰、慶安元年、1648年刊)には「あまかへる かへるこ ひきかへる」の記載がある。
君:あらあら、「かへる」が江戸時代には遂に歌語・雅語になったのね。
私:そして出てくるのが小林一茶の句。
君:ところで「どんびき」は連濁の法則にあっていないわね。
私:「どん」という音韻も、「びき」という音韻も共に譲れないというわけだ。段取りは「だんどり」、「だんとり」は間違い。「どん」の語源は、鈍・呑・貪、等々、幾らでも候補は有りそうだが、何だろう?
君:おっと、安易な発想は駄目。スッポンの異名「どんがめ」の語源は胴亀よ。
ほほほ