大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

べべ

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私:まずは近代日本における方言学の泰斗・柳田國男について。著書「蝸牛考」ならびに「方言周圏分布論」は氏の代名詞といってもいい。カタツムリ以外に数々の言葉の謎を解き明かし、著書は膨大、長野県飯田市柳田國男館に集められている。民俗学的な解析は柳田ファンを魅了し続ける。ところで氏が決して書物に残さなかったのが男性器・女性器の呼び名。
君:そこで出てくるのが今日の表題ね。共通語における用法、きれいな着物、つまりは「おべべ」からすると飛騨方言における女性の身体部分という意味なのよね。
私:その通り。
君:つまりは天下の佐七君が遂に飛騨方言のネタ切れ、書く事がなくなってしまい、最後の扉を開けたという事かしら。
私:いや、違う。このサイトを一言で表すと、気まぐれエンタメサイト。エンタメには違いないが、やはり学術的に耐え得る内容にしたいと思う。がんばるぞ!
君:まずは同語が、飛騨の俚言なのか、という問題ね。
私:そこでお出ましするのが小学館・日本方言大辞典。語数が10万だったかな。多義語であるが、女性の身体部分という意味においては全国共通方言です。「べべ」の音韻は、奥羽、常陸、越路、尾張辺郡、津軽、岩手県上閉伊郡、宮城県登米田川郡、福島県岩瀬郡、茨城、栃木、八王子、神奈川県津久井郡、佐渡、富山県砺波、山梨、長野、岐阜県大野郡吉城郡、静岡、愛知、三重県志摩郡、奈良県吉野郡、島根、山口県平群島、徳島県美馬郡、宮崎県西臼杵郡、鹿児島県肝属郡の方言資料がある。
君:要は全国津々浦々ね。
私:その通り。要は語源は古語、然も古代の和語というわけだ。ついでながら「べべ」の音韻変化を見てみよう、蛇足ながら「べべ」が最大派閥だが、他には「べっぺ、べっべ、べべちゃ、べっちょ、べっちょー、おべんこ、おべんちょ、へっへ、へっぺ、へっぺ、べべこ、へへ、べぺ、べらこ、べんちょー」など。地域は割愛させていただく。まことにきりがないね。
君:そして角川古語大辞典のお出ましね。
私:実は上記のその他の音韻のなかに答えがひとつある。ヒントは母音調和・有坂池上法則。さあ古代人の気持ちになってみよう。
君:ほほほ。わかるわよ。「へへ」が古代語だったのね。
私:その通り。動かぬ証拠というものがある。御調八幡宮蔵日本書紀第一聞書解説並びに影印・翻刻。広島大学が文字起こしして、ネットに公開していてくださった。日本書紀ならば語源学の最強エースカードにて、ぐうの音も出ないはず。ここ
君:早速に読んでみたのね。
私:勿論。陰生麦大小豆、雑説に云麦はへへの中より出でたる故に彼のなりに似・・・。
君:鎌倉時代の読み下しよね。でも十分に古くて説得力はありそうね。
私:結論だが「へへ」は和語。ところで方言「べべ」は多義語だが、実は最もよく用いられるのがビリの意味です。「べべ」は全国各地で意味が悉く異なっているので使用しないのが無難。
君:その論法でいくと共通語「おべべ」もアウトね。 ほほほ

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