大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
そめ
私:案山子(かかし)の事を飛騨方言では「そめ」という。
君:あら、聞いた事が無いけれど、語源がわかったのね。
私:実は「そめ」は飛騨地方と三河・遠州の一部のみの言葉で、然も大半の地域ですでに死語。こんな言葉の語源検索は絶望的と考える人も多いだろう。
君:あなたは天然の鈍感力で、必ず突き止めてやるぞと思い込んだら命がけなのね。
私:まあ、そんなところだな。私の大胆な推理は「しめ標・注連」が語源じゃないかな。「しめ(案山子)」は四国の一部にある方言です。「しめ標・注連」は和語です。万葉115・394・4096、にて専有物であるを明示するための標識。重要単語につき入試に出るかもしれないぞ。
君:さあ、それはどうかしら。万葉集は大学入試に出やすいか、という命題ね。
私:上記の三首について詳述するというのは野暮と言うものだ。僕は万葉語の研究者ではない。僕が興味を抱くのは「かかし」を意味するふたつの言葉、飛騨の「そめ」と四国の「しめ」、これに関連が無いかなと考える方言学の発想だ。
君:奈良時代から四国では音韻が変化せず、飛騨では「し」から「そ」へと母音交替が生じたのでは、という発想ね。
私:その通り。更には方言学というか、古語の世界で必須の知識が多義語的解釈というもの。万葉語の「しめ標・注連」は棒・杭・縄などを立てたりしたものを指していて、境界を示すものだった。おやじギャグ
君:それが、やがて田んぼの真ん中に立てたものを示すようになったのでは、という意味ね。
私:そう。「かかし案山子」は意外に新しい言葉だ。といっても近世語。関東・東北は大半が案山子の呼び名で全国でも最大派閥だ。
君:言語地図があるのね。
私:ここです。丸一日も見ていても見飽きません。それが方言学というもの。
君:そめ、しめ、しめー、結構あるわよね。
私:これで最早、明らか。ここでも方言周圏論の理論が生きてくる。柳田國男は偉大だ。方言学の神様。奈良時代の奈良盆地は田んぼに「しめ」を立てていたのだろうね。
君:実は現代語でも、しめなわ注連縄、と言う形で万葉語がひっそりと生き延びているわよね。お正月らしい話題だわ。
ほほほ