大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
がさ(がさつ)
私:飛騨方言「がさ」の意味は共通語で「がさつ・杜撰・出鱈目・乱雑」などに相当する。つまりは3モーラ「がさつ」の末尾のモーラの脱落かと早合点しがちだが、実はそうではない。
君:あらそうかしら。その根拠は?同根と考えてもおかしくないわよ。
私::結論を急ごう。「がさ」「がさつ」は同根の可能性はおおいにあるが、両語とも古語。「がさ」は新撰大阪詞大全(江戸時代末期、後刻の天保15年刊本の写本)に「がさつのこと」の記載がある。ところが「がさ」で最も古いのが今昔・27/14(平安末期)。副詞「かさと」。物がすれあったり、ぶつかったりする音を表す語。つまり擬音語。形動ナリ「がさつ」は甲陽軍鑑・品14、これは江戸初期・寛永あたり。
君:なるほど。つまりは逆ね。「がさつ」の語源が「がさ」という事だったのね。
私:その通り。語源を考えるうえで大切な事は、つまりは古い言葉が新しい言葉の語源である、という事。
君:「がさがさ」という擬態語は古語副詞「がさと」からの派生という事でいいわね。
私:勿論だ。「がさくさ」「がさごそ」「がさもさ」等々のオノマトペは近代文学辺りから出てくる言葉だが、「がさがさ Gasa-gasa」はロドリゲス日本大文典に記載があるから江戸初期のオノマトペ。つまり、これらのオノマトペは近世語として生まれ、近代語を経て現代語になった言葉。
君:それにしても現代語では「がさがさと」とも言うので、平安末期「かさと」と音韻はあまり変わりないのね。
私:「かさかさと」は大蔵虎明本狂言(寛永十九年、1642)に出てくるよ。いつの時代からか知らないが、清音と濁音に分かれたようだね。
君:いつの時代とは、随分と「がさ」な言い方ね。
ほほほ