大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
ばんどり
私:飛騨方言では雨合羽の事を「ばんどり」という。

君:雨合羽といっても、歌川広重《蒲原 夜之雪》東海道五拾三次に出てくるような。
私:そう、雨にも、雪にも強い江戸時代の合羽だ。高山市江名子町の名産で「えなこばんどり」の名前で知られ、戦後あたりまでは使われていた。ここ
君:語源が判ったのね。
私:これは角川古語大辞典に記載があるから簡単だ。「ばんどり晩鳥」はリス科の哺乳類「むささび」の異名、夜間に多く滑空して木から木へ飛び移る事から名づける。「ばんてう晩鳥」ともいう。伽・十二類合戦絵・上。
君:なるほど、近世語ね。
私:いかにも。
君:雨合羽の語源が江戸語の晩鳥から、というのは形の連想から、ここまでは良しとして、ムササビの語源は何かしら。
私:それはとてもいい質問だ。語源は不明、古来、(語源)学者の心を魅了してきた。幾つもの説がある。故・吉田金彦先生の語源辞典動物偏にも、語源は不明、と明記されている。
君:「ばんどり晩鳥」は全国の方言かしら。
私:それも素敵な質問だ。ムササビの意味でも、雨合羽の意味でも全国各地の方言になっている。両方の意味で使われている地方が多い感じ。
君:佐七君はムササビを見た事あるのかしら。
私:いや、ないな。雨合羽は我が家にあったし、祖父が常用していたな。シナ科の木の皮に薬を混ぜて作り、農作業にはなくてはならないのもののひとつだ。
君:つまりムササビを見た事もないし、ばんどりを着た事もないのね。
ほほほ