大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 地名考
天生峠
私:天生峠(あもうとうげ)の地名がフト気になって調べものをした。泉鏡花「高野聖」なども参考までに。
君:場所がよくわからないわ。
私:とてもいい質問だ。飛騨の北限、つまりは富山県境にある。ただし県をまたぐ峠ではなく、庄川水系の白川郷と宮川水系の河合村にまたがる峠。つまりは岐阜県内の峠。それはもう険しい峠で、飛騨の原風景、つまりは深山幽谷といったところだね。舗装道路につき普通車は通過できるが、冬季は閉鎖されている。オートバイで何度か訪問した。
君:街道のような昔から交通が盛んな峠ではなく地元の人々の生活の道といったところね。
私:うん。それでも近年は自然を求めて観光客が通過するが、スタンドは無いし、店は無いし、事故があっても救急車が到着するのに何時間もかかるような場所。クマだって出没するし、あまりお勧めは出来ないね。
君:このコーナーって地名の語源を書きまくっているのよね。
私:うん。文明3年(1471.5.3)の古文書に「保字とあもの境の事」の記載が、慶長18年(1613)の飛騨国郷帳には「あまふ村」の記載がある。結局は語源はよくわからないね。ただし角川の日本地名大辞典には、アマヅラ(甘葛)が茂る意味でアモウ甘葛生か、との文言がある。少しばかり苦しい説明だ。こじつけといったほうがいい。甘葛は、ツタやアマチャヅルといったツル性植物の樹液を煮詰めて作られる甘味料。天生峠の周辺はブナの原生林や高山植物が豊富な自然公園として知られており、ツル性植物も多く見られるので一理が無いわけではない。
君:甘葛と言えば、清少納言がかき氷でお食べになったのよね(枕42)。
ほほほ