大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 言語障害(医学)

アノソグノシア anosognosia とは

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私:今夜もまたヘンテコリンな病気のお話を。脳の病気です。言語に大いに関係あり。
君:ギリシャ語で「a-/an-」は否定の意味ね。だから、これは「ノソグノシア」が無い脳の病気の事なのよ。
私:その通り。「ノソグノシア」は「ノソス」と「グノシス」に分解できる。前者は病気の事、後者は診断。nosocomial infection 院内感染、zoonosis 動物が媒介する病気、このくらいなら教養部レベルの語彙、そして diagnosis 診断・判定は大学受験程度のレベルの語彙。
君:つまりは全体の意味としては病気の診断が出来ない事という意味ね。
私:完全正解だが、日本語としてはこなれていないね。病態失認、とでも訳しておこうか。言語に関する病気だが、どんな病態の事かな。
君:いろいろな病態がありそうね。一言では語れないという事かしらね。
私:ははは、物は言いようだね。言葉の遊びの道場としての当サイトのゲストとしては上出来だ。判りやすい言葉で言うと、本人に病気の自覚が全くない、という一点に絞られる。これは右半球コミュニケーション障害(RHCD)の病気の別名でもある。
君:RHCDとは、アクセントがおかしかったり、抑揚が無かったり、要は生き生きとした話し方が出来なくなる病気の事ね。
私:その通り。周りの人は、なんとなくというか、明らかに可笑しな言い方、という事に気づいているのだが、肝心の病気の本人が全くその事に気づいていない。
君:なるほど。それって正に方言学でいう「気づかない方言」の事じゃないの、ほほほ。ところで病気の本人に気づかせるという事が言語訓練のスタートなのでしょうから、これは一筋縄では行かないわね。
私:その通り。病識のない患者様に、あなたは病気ですよ、と正直にお伝えしても逆効果というものだ。動かぬ証拠が必要なので、話している動画を撮像して、それをもとに優しく説明するというような方法もとられる。
君:逆に、私は口下手で、と自覚している人は病態失認の患者様とは明暗を分けるわね。
私:その通り。地方の出身のお方が、訛りを自覚していて何とか直したい、と思う限りは話し方教室で矯正していただける。アノソグノシアについては言語療法士の出番。右大脳半球の器質的疾患なのだから、治るケースも治らないケースもあるだろう、まずは神経内科医に相談。良性の脳腫瘍がみつかり、手術で治ればハッピーエンド。頻度としては断トツに多いのが脳梗塞、老人の病気だね。医学は常に進歩しているので、ご両親様の話し方がおかしいという事に気づけば直ぐにでも病院を受診させたほうがいい。
君:老人は一般的にガンコであるし、ましてや病気の自覚が無いのだから、病院へは行きたがらないわね。
私:左半球の病気ではないので、文法・語彙があっているから猶更の事だね。更には前頭葉がまともなだけに。
君:今の時代、言語の障害はなんでもかんでも認知症の一言で語られるけれど、実はそれは間違い、という事を佐七君は言いたいのね。 ほほほ

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