大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 多義語

かつねる

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私:飛騨方言「かつねる」は共通語では「かつぐ」だから、後者が多義語故、「かつねる」も多義語になっている。と言っても「肩に乗せる」「迷信を信じる」の二つの意味程度ですが。
君:共通語「迷信を信じる」の用例としては「縁起を担ぐ」というので、飛騨方言では「縁起をかつねる」と言うのね。
私:その通り。共通語では「自分たちのリーダーとして押し立てる(例、総理にかつぐ)」「あざむく・だます(例、まんまとかつがれた)」などの意味が加わるが、飛騨方言ではそこまでの意味は無いようだ。
君:どうして「縁起をかつぐ」というのかしらね。
私:これは神事「御幣を担ぐ」から出てきた言葉。神官がお祓いする時は「御幣」を左右に振って肩に当てる。つまりは「御幣」を肩にする「かたぐ肩」。これが近世語では「御幣を担ぐ」という言い回しになった。そこから意味がさらに敷衍して「(神官が)御幣をかつぐ 」行為を受けた人が縁起を気にする事を「担ぐ」というようになった。
君:なるほど、授受における主客の置換と言うわけね。ところで「かたぐ」の多義度は飛騨方言のほうが少ないので、「かつねる」のほうが意味の原型をとどめているようだし、中央に於いても「縁起をかつぐ」の用例は早くからの用例であり、飛騨方言の進化はそこでストップしたようね。 ほほほ

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