大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 多義語

えむ

戻る

私:飛騨方言の「えむ笑」だが多義語であり、笑う・割れる、この二者の意味がある。
君:「笑う」については異論はないとして、「割れる」についてはもう少し具体的にお話をなさったほうがいいわよ。
私:まさにその通り。果実などが結実して割れるような場合に用いる。「栗のイガがえむ」とか。
君:これって実は古語よね。
私:その通り。和語動詞だ。「ゑむ」は万葉集や新撰字鏡に出てくる。最初は「笑う」の意味から始まった。言葉とは本来は素朴なもの、「ゑ」を発音すると、両口角が上がり笑う所作と同じになるからだよね。そして、いろんなものが笑う、の例えで和語動詞「ゑむ」が誕生した。花が咲く、とか、熟した果実の外皮がはじけ砕けるとか。俳句の季語で「山笑ふ」と言えば春。木々が一斉に芽吹き濃淡の緑綾なす風景の事。
君:そうね。ところで動ハ四「わらふ笑」も「ゑむ」に同じね。
私:いや、両者とも和語動詞にて意味は同じだが、両者には根本的な違いがあるね。implicid が「ゑむ」、 explicid が「わらふ笑」。英語の smile / laugh と全く同じ。
君:ほほほ、なるほどね。どうやら、ひっそりとはにかむように熟した果実の外皮がはじけるのが「ゑむ」で、ポーンと砕けるようにはじけるのがわらふ笑」というわけね。ほほほ(ゑむ)

ページ先頭に戻る