大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 多義語
ええくらい
私:飛騨方言の「ええくらい」だが、共通語では「いいくらい」。飛騨方言では「ええくらい」は多義語で、共通語の「いいかげん」と同じ。つまり飛騨方言「ええくらい」は、ちょうどよい加減・実にでたらめな加減、この相反する多義語となっている。
君:少しばかりややこしい話ね。
私:うん、これは方言学でいう「気づかない共通語」に関係する問題。「いいくらい」そのものは共通語であり「いいかげん」の同意語。従って、飛騨方言「ええくらい」といっても形ク「良し」の音韻の問題であり、意味論の問題ではないけれど、なにせ共通語とて「いいかげん」の意味で「いいくらい」という事はほとんどない。従って「ええくらい」を、意味も含めて、飛騨方言と認識するのは寧ろ当然の事。
君:それも、つまらないお話だわ。「気づかない共通語」は所詮、共通語よ。
私:いや、それは違う。「気づかない共通語」という範疇の(飛騨)方言なんだ。
君:確かにね。
私:僕の興味は次の問題に移った。共通語「いいかげん・いいくらい」、これの使い分けにはどんな法則があるのだろう。「これくらい」とは言うが「これかげん」とは言わないので、「くらい位」の概念は広く、「かげん加減」の概念は狭い事がわかる。ちょいと内省しただけなので、若し間違っていたら御免なさい、「くらい」は「かげん」を内包する。「加減」に前接する形容詞句は「くらい」でも使えるが、逆は真ならず。「あなたくらい」とは言うが、「あなたかげん」とは言わない。要は「くらい」はあらゆるものの差を示す体言であるのに対して、「加減」は足したり引いたりできるものに限るのでは。
君:いい加減な事、言わないでよ。ほほほ