大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 複合助詞

副助詞「だけ」の格助詞との相互承接

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私:複合助詞について深く考えてこなかったので、なるべく深堀りしたいと考え始めた。
君:まずは総論から書くべきじゃない。
私:いやいや、浅学菲才の身ゆえ思いついた事、小さな気づきから書き始めて、いずれは総論を。きっかけは「君だけに愛を」。
君:なるほど。本日の演目からすると、「君にだけ愛を」とも言い換えられるのは何故か、という事で複合助詞について興味を抱き始めたのね。
私:その通り。「君に愛を」は意味が通るが、「君だけ愛を」は日本語としてナンセンスだね。これもどうしてだろう。代名詞「君」と格助詞「に」に罪はない。副助詞「だけ」の特徴という事だよね。肝心の動詞部分が隠れているが、これは当然ながら「捧げる」。つまりは文章の意味としては「僕は君だけに愛を捧げる」という事。これは異論がないでしょう。
君:そうね。
私:「君だけ愛を」がナンセンスなのは、「君だけ(が僕に)愛を(捧げる)」という真逆の意味になってしまうからという事だよね。
君:「(が僕に)(捧げる)」の意味に断定は出来ないわよ。「君だけが僕の愛を受け止めない」という意味かもしれないじゃないの。
私:男の純情・女の薄情、ってやつだな。脱線し過ぎた。本題に戻そう。本日の気づきというのは副助詞「だけ」の語源だ。
君:それはもう、名詞で決まりね。
私:なんだ知っていたのか。
君:見くびらないでね。「たけ丈」が語源、「こころのたけぞしられぬる」、つまりは、全部・全て・限り・有る限り、という意味ね。「ありったけ」とか「くびったけ」など、現代語にさりげなく生きているわよ。
私:そうなんだよ。「きみだけに」は「君丈(君の全て)に」の意味であるし、「きみにだけ」は「君に首ったけ」+ゼロ接辞「で・にて」の意味。順接確定ってやつだね。
君:ほほほ、古語としては「きみたけに」が中古語で、「きみにだけ」が近世語の匂いがプンプンしてきたわね。
私:早い話がそんなところだ。先ほど来、あれこれと調べ物をしたが、どこにも記載がない。本邦初公開といきたいところだが、なんとなく不安にかられる。
君:語源が判明したところで、そろそろ、結論をお願いね。
私:相互承接の点から助詞の全てを鑑みるに、副助詞「だけ」の前に立てても後ろに立てても意味が変わらないのは、「に」「と」「から」の三種類だけ。「君とだけ会う・君だけと会う」「君からだけ聞きたい・君だけから聞きたい」。日本語にはこんな不思議なカラクリがある。
君:「あなただけはいやよ」とだけ言っておくわ。 ほほほ

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