大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 形態素分析

助詞の省略

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私:日本語は膠着語につき、助詞が各品詞をくっつけて一つの文章としても、助詞自身が形態素であるので形態素分析(品詞の同定)は比較的容易だと思うが、口語においては助詞が省略される事も多い。こうなると形態素分析も一苦労だね。
君:形態素分析は文字情報に対しての演算、つまりは文字起こしをした口語の形態素分析の困難性という事ね。
私:その通り。
君:例文がいいわよ。
私:実は今日の原稿を書こうと思ったきっかけは本日の中日新聞電子版。題して「パトカー追跡中のバイクが転倒、男子中学生けが 名古屋の交差点」。見出しは簡潔を旨とするのかもしれないが、この表現はいただけないね、
君:あら、素直な文章よ。どこがいけないのかしら。形態素分析は容易だし。
私:「男子中学生けが」は主語+述語、「名古屋の交差点」は連体格の二語、の意味であり共に問題ない。「パトカー追跡中のバイクが転倒(14文字)」、これが問題だ。
君:えっ、どうしてかしら。
私:ひとつには「バイク」ではなく「自転車」と記載してほしかった。オートバイの事故ではなかったようだ。
君:それはそうね。それだけかしら。
私:いや、もうひとつある。一瞬だが「パトカーを追跡中の自転車が転倒(15文字)」と思ってしまった。
君:自転車がパトカーを追うなんて事、ないわよ。
私:そうでもないと思うな。それはさておいて、何が何を追ったのか、意味をはっきりさせたい。「パトカーが追跡の自転車は転倒(14文字)」、これでも文字数は変わらないのだけれど。「パトカーが追跡した自転車は転倒(15文字)」「自転車がパトカーに追跡され転倒(15文字)」、これらは共に原文より1文字増えているが、読みやすくなっていると思う。「追跡パトカーで自転車転倒」、これだと12文字だが、これ以上は短くできないね。
君:膠着語だから言い方は自由よ。簡単に総括をお願いね。
私:助詞には省略可能な助詞と省略不可能な助詞があるが、助詞の省略はしないのが無難。
君:省略可能は「省略が可能」という意味なので主語を表す格助詞は省略可能とすると、パトカー追跡は「パトカーが追跡」という意味で、合格という事になるわよ。パトカーを追跡するなどいう事は一般的にはあり得ないのだし。それに「大学受験」とは「大学を受験する事」、つまりは目的格の「を」も省略する事が多いわよ。
私:「パトカー自転車追跡で転倒」でも曖昧性は残る。常識的には転倒したのは自転車だが。「パトカー自転車追跡」自体が日本語としてアウトかもしれない。いずれにしても「パトカー追跡中」という表記がよくないね。
君:「パトカー追跡」なら良いという意味かしら。
私:いやいや、そうではない。「バス運転中はスマホ禁止」と言うね。これは「バスを運転中はスマホを禁止」の意味にて曖昧性はない。とにかく、新聞なのだから正確に情報を伝えてほしい。中日新聞社様へ、できたら「パトカーが追跡したバイクが転倒(15文字)」でお願いします。
君:「パトカーが追跡、バイクは転倒(14文字)」、コピュラ文が一番に簡潔で判りやすいのよ。 ほほほ

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