大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 幼児語
命令形
私:五歳になる孫だが、やはり未だに完全な日本語が話せるとは言い難い。「はやくしれ」と言ったのを聞き逃さなかった私は、「はやくしろ」と言うんだよ、と教えてやった。
君:飛騨方言ではサ変動詞は「する」ではなく「せる」とも言うわね。
私:そう。然も「せる」は下一段活用だ。「はやくせれ」は正しい飛騨方言文法であり、飛騨方言に「はやくせろ」という言い方は存在しない。
君:幼児には文法は存在せず、ただ丸のみでフレーズを覚えているとおっしゃりたいのね。
私:とんでもない。実はその逆だ。五歳の孫は実は自身の文法を既に確立し始めていて、五段「書け、登れ」などの類推で、全ての動詞命令形はエ列で活用するのかな、と思い込んでいた。動詞の種類によりエ列になる事もオ列になる事もある、と教えてやったんだよ。
君:ほほほ、お孫さんが間違える事は日本語を学ぶ外国のかたも間違えやすいという事で、実は年齢は関係ないわね。
私:その通り。問題は複雑な日本語文法のほうにあるが、すっかり日本語文法が身についてしまった大人の日本人はその事に気づかない。
君:誰もが通ってきた道なのにね。
ほほほ