大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記
にないおけ
私:「いろは歳時記」の一句、「にないおけ よたつきゃくさい ちゃぶちゃぶと」。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:これは農耕の歌。肥料として人糞を用い、田畑に撒くのが戦前あたりまでの飛騨の自然農法。運ぶ桶が「担い桶」、同重量の二つの桶を天秤棒で一人が運ぶ。ただし、この語彙は共通語。従ってこの句に飛騨方言の語彙は無い。つまりが岩島氏の「気づかない共通語」意識から生まれたもの。
君:方言命の思い余って、共通語がどうしてもおらが町の方言に見えてしまう、という心の表れね。
私:要はそういう事。そもそもが、方言とは何か、という命題に関わるが、その人の心の中では立派な方言表現という事になるので、気づかない共通語という名の方言と言い換える事が出来るかもしれない。農具揃の語彙五月によれば「つぼおけ・壺桶」と言ったらしい。つまりは江戸時代に荒城郷(広瀬郷国府村、現高山市国府町)では壺桶と言った。明治大正に丹生川村(現高山市丹生川町)あたりでは担い桶といった。国府と丹生川は小さな峠が境の隣村同士。今回の話題は言葉の綾の問題。
君:田舎の香水という訳ね。鶏舎や牛舎の臭いにも通じるわ。
私:ところで件の句は五月の句のようだ。夏に分類したが。
君:俳句的には二月から五月初旬が春で、五月初旬から七月が夏よ。季節の終わり(春)なのか始まり(夏)なのか、で見極めるといいわ。
ほほほ