大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記
はなとり,かか
私:「いろは歳時記」の一句、「はなとりの 竿ひきまわす かかのうで」。これは春の句。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。意識的に平仮名の句にしてという事かしら。判じ物の歌ね。
私:その通り。漢字にしてみよう・・鼻取りの竿 引き回す 妻の腕。
君:問題は「鼻取りの竿」という複合名詞ね。ヒントは。
私:田植えの時に代掻きで活躍する農耕牛。
君:つまりは牛の鼻という事ね。牛の鼻に竿がつけてあるのね。
私:その通り。鼻中隔には穴があけてある。そこに金具(鼻綱)を通してあり、更にはその金具に長い竿の端が括り付けてあり、もう一方の端は人が持つ。
君:つまりは人が牛を先導するわけね。
私:牛は鼻綱が引っ張られると痛い。従って、竿の動きに従って動かざるを得ない。
君:なるほど、そのような竿捌き程度の仕事なら女性でも可能という訳ね。
私:副題があって、鼻取りは舵取り。注釈が有って腕の良い嫁は夫も上手に引き回す。
君:力仕事をする夫を農耕で活躍する牛に見立てたのね。
私:まあ、そういう事だ。ただし、ひとつだけ、これだけは言わせてくれ。
君:ほほほ、なあに。
私:「かか」は妻の事。「かかさ」ともいう。「かが」ともいうが、この場合は鼻濁音ではなく必ず濁音になる。妻は夫の応援団長をなさるのは大いに結構ですが、夫の監督にはならないでください。
君:なるほど、夫は応援されると働く気持ちが湧いてくるけれど、命令されると働きたくなる動物のようね。
ほほほ