大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記
ゆう,きかん,あだの,うしぼい,ね
私:「いろは歳時記」の一句、「ゆうことを 聞かんと 阿多野の 牛ぼいね」。この川柳のお題は、しつけ。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:これは飛騨方言オンパレードの句だね。飛騨方言他ラ五「ゆう」は共通語他ラ五「言う」の古語形「いふ」の更に進化したもの。「きかん」は否定の助動詞「ない・ぬ」の東西対立で飛騨地方が西側の証左。「あだのごう阿多野郷」は明治時代まであった旧大野郡益田郡にまたがる行政区画で、一般的には北アルプスの麓・高根村のそのまた奥地・つまり飛騨の中のまた辺境の代名詞。「うしぼい」は「牛追い」の子音交替。これに続く「ね」は終助詞「ね(例、夕食はカレーね)」ではなく第二目的語を示す格助詞「に」の事。つまり句の意味は・・言う事を聞かない悪童は辺境である阿多野郷の牛飼い(の奉公)に行かせてやるぞ・・という脅し文句。
君:つまりは、飛騨は広いけれど阿多野郷などという辺境は人が住めないような場所の代名詞だったのね。
私:飛騨は山深いが、特にここは放牧のみで成り立つ高原だね。ここには人が食べるものがない。高山盆地や古川盆地は大都会というわけだ。
君:今の時代なら阿多野は差し詰めヒマラヤの山奥の感じね。
ほほほ