大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記

れんげざし,やせとんぶし,みとる

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私:「いろは歳時記」の一句、「れんげざし やせとんぶしは みとる役」。この句は川柳というか、生活の歌というか。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:まずは飛騨の俚言「れんげざし」について。米俵を差し上げる力比べの一種です。まず俵を縦に立て起こして、両掌に乗せたまま差し上げる。名詞「れんげ」+動ラ五「さす」連用形の複合名詞だと思うが、語源については不明という事にしておこう。飛騨の俚言である事は各種方言資料で確認した。ついでながら、昔に村々で行われた力比べには、いちかぶり、たいつり、たわらさし、てっぽざし、なかえそ、なかぬき、ひとえざし、ますがつね、等々がある。詳細についてはいずれ別の機会に。
君:となると、意味としては・・俵を持ち上げる力比べで ひょろひょろと力のない人は ただ見ているだけの役・・という事ね。
私:その通り。「とんぶし」もバッタを意味する飛騨の俚言だ。
君:その語源は。
私:不明と言わざるを得ないね。古語にはない。敢えて言えば「とんばう蜻蛉」が似た音韻と言えるのかな。こちらは「とばう飛」が「とうぼう」「とうばう」「とんぼう」「とんぼ」に音韻変化したのでは、というのが通説。飛騨の俚言「やせとんぶし」はバッタのようにスリムすぎる弱弱しい体の男の意味だ。蛇足ながら飛騨方言ではバッタを「とんぼし」「とんばす」「とんむし」とも言う。福井県大飯郡には「とんぶん」がある。
君:難しいわね。ところで「みとる」は「みておる」の短呼化なのよね。
私:その通り。「みている」の音韻変化ではない。東京語「いる」と畿内方言「おる」には明瞭な東西対立があり、飛騨は西側「おる」に属する。
君:やせとんぶしさんは剛力無双の引き立て役ね。 ほほほ

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