大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記

へのめし,つけな,しとなる

戻る

私:「いろは歳時記」の一句、「へのめしと みそとつけなで しとなった」。この句は川柳だ。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:「へのめし」は「稗の飯」の事。さて明治あたりまで、日本の貧村では自由に白米が食べられる状況ではなく、常食としていたのが稗ひえ・粟あわ。飛騨は寒冷な地域で稗の地方。「へのめし」は稗と白米の混じった食事の事。「つけな」は漬け菜の漢字を読んでの如し、蕪かぶら、大根などの葉の漬物の事。漬け菜は複数の植物も意味する全国共通語の多義語。「しとなった」は「育った」の意味。中部地方の自ラ五方言動詞に「ひとなる人成」がある。元々の意味は「ひとになる」つまり、立派な大人になる、という意味。これが転じて単に「育つ」という自動詞になった。これの子音交替が「しとなる」。この時から自他対動詞となって「しとなる・しとねる」となった。つまりは「しとねる」は「育てる」の意味。
君:なるほど、稗の飯と味噌と漬菜で育った、という事は、意訳すれば、来る日も来る日も貧しい食事だったのによくぞこんなに大きな大人に育ってくれて、という意味ね。
私:その通り。話は変わるが、飛騨の格言に「生みの親よりしとね親」というのがある。
君:わかるわよ。生みの親より育ての親、という意味ね。遺伝子よりも教育の尊さを言うのよね。 ほほほ

ページ先頭に戻る