大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記
いとひき,野麦
私:「いろは歳時記」の一句、「きかいづとめ いとひき 野麦を 超えていき」。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:説明するまでも無いと思うが敢えて・・岡谷など信州の製紙会社に勤める糸曳き工女、一年にたった一度の休暇が正月前後、彼女達が野麦峠超えをする・・と言う意味。季語はある。真冬の北アルプス・野麦だ。冬の句で決まり。
君:映画化されたわよね、「あゝ野麦峠」。
私:感傷に訴えるという意味では最高のメディアだろうね。ただし、この映画が世に出たのは新版あゝ野麦峠 山本茂実 朝日新聞社というノンフィクション文学たる書籍のおかげ。
君:つまりはルポライター山本茂実氏の存在無くして映画は存在しなかったという事ね。
私:彼は相当に多くの飛騨の老女さん達との面談を踏まえて、ひとつの本にまとめ上げた。映画化の話は何度もあったが、なかなか実現に至らなかった。昭和44年3月13日に吉永小百合は永田町ヒルトンホテルで記者会見し、映画・野麦峠を自主制作すると宣言、ところが原作争奪のきびしいいきさつもからみ、制作スタート直前に計画は頓挫した。山本薩夫監督、大竹しのぶ主演(政井みね役)で1978年(昭和53年)11月にクランクイン、野麦峠及び朴ノ木平スキー場で撮影が行われた。翌年(昭和54年)6月に全国一斉に公開されて、社会人二年目の僕は愛知県安城市の駅前の映画館で封切を一人、観た。
君:わかるわよ。映画館に入る前に涙ぐまずにはいられない事を予想していたからよね。
ぐすん