大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記

おおあしふみ,あらそう

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私:「いろは歳時記」の一句、「おおあしふみ 早乙女どもね あらそわれ」。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:これは田植え、春の歌。「おおあしふみ大足踏」、これは泥田にワラや草などの有機物を踏み込む田下駄で力と体重が要るので男の仕事。方言学というよりは民俗学だな。つまりは大足踏役の男が苗植えをする早乙女達「に」かわかわれて、という意味。
君:なるほど、「あらそう」とは「からかう」という意味であって、「言い争う」という意味ではないのね。
私:その通り。折角なので、少しは日本語のディープなお話をしたくなった。つまり日本語の最重要和語動詞「あらそふ」の語源論。
君:ほほほ、万葉仮名の解析ね。
私:名だたる語源書に記載が無いので僕なりの考えを書きとどめたい。「あらそふ安良蘇布」は当然ながら「あら」+「そふ」だと思う。「あら」は当然ながら最重要和語形ク「あらし安良伎」で決まりだね。動ハ四「そふ」、これも和語動詞だ。これについては今しがた万葉集4085に命令形「そへ蘇倍」をみつけた。「そふ」の意味はある物事の上に更に物事を重ねる事、更には接尾語「ふ」と言えば、なにかをし続けるという意味。和語動詞「たたかふ」、これは叩き続ける事からきた動詞だ。
君:一理はあるわね。万葉仮名で同じ漢字を当てているというところがミソね。
私:その通り。動かぬ証拠というわけだ。理詰めでいけいけ。
君:つまりは和語動詞「あらそふ」は、人に気に障る言葉を言い続けるという原義であり、これが転じて飛騨方言「からかう」になったのでは、と仰りたいのよね。
私:いやいや、そうではない。古事記・万葉集の時代から「あらそふ」には「からかう」という意味があって、これが飛騨方言として生き延びたのでは、と主張したいんだよ。
君:証拠が無いわね。
私:証拠は万葉仮名。
君:大足踏君、わかったわよ。これ以上は私・早乙女は「あらそわんどく」わね。 ほほほ

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