大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記
くらかけ,もる
私:「いろは歳時記」の一句、「くらかけの 上で桑もる 歌も出る」。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:これは養蚕、つまり春の句。「くらかけ」に記載の通り。大きな脚立の事。「もる」は古語に由来し、「もぐ」の子音交替形、意味は「もぎ取る・かき取る」だ。既に万葉集3872「吾門之 榎實毛利喫 百千鳥 々々者雖来 君曽不来座」にみられる。実をついばみに鳥は我が家に来るのに、どうして君は来ないの、というラブソング。
君:なるほどね。
私:今日も発見、飛騨方言に万葉語。おらが町の方言に万葉語発見、つまりは万葉方言じゃないか、と思わず胸キューンとなる方言愛好家は多いと思う。万葉方言という言葉は八丈島だけの専売特許ではありません。
君:突き詰めて考えれば、現代日本語そのものが万葉方言なのよね。
私:実はその通り。さて、句意たが、昔は高木といって桑の木を成長に任せたので、桑の葉の採取には脚立やハシゴが必須だった。黙々と小枝をもぎ取る重労働だが、桑もり歌のひとつも出てこようというものだ。
君:なら、歌詞が問題ね。
私:いずれ詳述したいが、以下のような歌詞。
桑をもりやるか おこがいやよいか
若い糸曳き 頼みやるか
若い糸曳き やとおか おこか
村の若い衆の 荷にゃならぬ
益田よいよな 奥飛騨よりも
竹の林が そよそよと
桑をもるなら 真桑をもりやれ
もれどたまらぬ あざみ桑
夜づまさまとは お前にはつよ
こやにおいとし ものかいな
上野平で 高山見れば
浅黄のれんが そよそよと
今宵一夜は お泊りなさりよ
西の黒雲 雨となる
西の黒雲 雨とはならぬ
実はお前を 泊めたさに
君:色恋歌ね。ほほほ