大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記

とちろかん,おおだんべ

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私:「いろは歳時記」の一句、「ねっから とちろかん おおだんべ」。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:注釈があるので紹介させていただくが、「とちろかん」は「動じない」、「おおだんべ」は尻が重く悠然と構えているさま、という事らしい。各種の方言資料に当たってみたが、どこにも記載がない。正直申し上げると、聞いた事がない言葉で首をかしげざるを得ない。変体句の川柳という事だが、言語学的に解釈すると、Ferdinand de Saussure が提唱するところの langue and parole の二分類概念における parole に属するものだね。
君:簡単に説明してね。
私:つまりはこの独特の言い回しは岩島周一氏の独特の言語観 parole によるもの。飛騨方言の共通語彙 langue ではないものの、「とちろく」というカ行五段の動詞の未然形があって、打ち消しの助動詞「ず・ぬ」が接続したものと解釈したい。
君:それでも、なんとなくわかるわよ。「とちろく」の語源はどうやら「とちる」のようね。
私:ははは、実はその通りだ。それが証拠に「とちる」は小学館日本方言大辞典に記載がある。あわてる、まごつく、うろたえる、のような意味だ。全国の方言になっていて、音韻は、とちるる、とちまずく。とちくる。とちまう、とちきる、等々。千変万化にて無邪気というしかないが、残念ながら「とちろく」の記載は無い。
君:長らく方言をかじっていると自然に共感が生まれるのね。ついでに「おおだんべ」は「立派な男子」あたりの発想からの言葉ね。 ほほほ

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