大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム いろは歳時記

げばす,ことわる

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私:「いろは歳時記」の一句、「げばいたと 仲人ことわる 人ちがい」。
君:句の内容を簡単に共通語で説明してね。
私:この句には飛騨方言動詞が二つある。他サ四「げばす」は日葡辞書に語源の記載があるが、「かけはずす」が転じた言葉。野鳥を生け捕りにする籠のつっかい棒のタイミングがずれて取り逃がす事。これが転じて飛騨方言では「(何かに)失敗する」の意味で使われる。他ラ四「ことわる」は日本書紀にもある和語動詞で「こと言」+「わる割」から来ており、「判断する・道理を説く・理由を説明する」などの意味の多義語。ところが近代語としては専ら「相手の申し出を辞退・拒否する」の意味で使われるようになり、古語本来の意味がなくなった。今回の飛騨方言の意味は古語に合致し、「理由・事情を説明する」という意味。
君:つまりは、仲人さんが他家に実は人違いで間違いでしたと理由を説明する、という笑うに笑えない話ね。
私:より具体的には、お見合いの席に現れたのは姉ではなく妹のほうで、男性が「仲人さん、人違いです!どうしてこんな事になったのですか?!」と叫び、その場が騒然とした、という句ですね。私の両親の例をはじめとして大西村での結婚のルールは簡単だった。両家の親が立ち話で話を決めると、お見合いすら不要、結婚は決定事項となるという、実におおらかな婚姻のしきたり。なまじっか仲人を立てると、時には情報の錯綜があってもおかしくはない。
君:要は、昔は兄弟姉妹の数が多くて、五人や六人が当たり前だったのね。間違えてもらっては困るけれど。 ほほほ

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