大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 接尾語
指小辞 diminutive
私:今夜は接尾語の一種・指小辞について。英語は diminutive。日本語・英語ともに言いえて妙。縮小辞、縮小語尾ともいう。
君:確かにね。では、定義をどうぞ。
私:或る語においてその語の示す概念(語基: base)に対し、寸法・数量・程度の微小さの意味を添えるもの。
君:あまりよくない意味ね。
私:いや違う。寧ろその逆。「小・可憐・親愛」などの良い意味で用いられるが、或いは「侮蔑・劣等」などの悪い意味を添えるものもある。
君:ほほほ、敬意低減の法則が働いているわね。
私:まさにその通り。語源的には「子供」を示す指小辞だが、意味の漂白(bleaching : 語彙的意味の弱化)、隠喩などを経て多義語化するのも重要な特徴のひとつ。
君:では、具体例をどうぞ。
私:「鍵っ子」「太郎ちゃん」など。
君:確かに接尾語の一種ね。
私:実は接頭語になる事も多い。「小皿」「豆記者」など。
君:語基からすれば、名詞だけとは限らないわね。
私:まあね。ところで、指小辞・diminutive、両語は接頭語部分「指・diminu」これが共に「小さい・ちっぽけ・消え入るような」という意味でまさに名は体を表すという事。「小辞・-tive」は品詞の種類を表すので、指小辞というのはなかなかの名訳だね。縮小辞と縮小語尾、これは diminutive の直訳と言ってもいいだろう。
君:そこで気になるのが「指小辞」はどなたが翻訳なさったのか、という事ね。
私:日野資純(1958)「青森方言管見」『国語学』34 武蔵野書院、あたりが古典的文献。従っておそらく日野先生の命名。指小辞は英文法の日本語訳。
君:きりがないわね。
私:うん、主に名詞や形容詞に対して用いられるが、動詞・形容動詞・副詞に指小辞が付く事もある。
君:英語のみならず、各国語にみられるわね。
私:当然ながら。これを論ずると言語学の話題になるし、指大辞(しだいじ、英語: augmentative)は、拡大辞、増大辞とも呼ばれ、ロマンス語やスラブ語に多いそうだ。
君:日本語にはなさそうね。
私:いや、ある。それについては当サイトの鉄板ネタ。飛州志に記載済み。
君:つまりは、この世にはちっぽけな言葉などひとつもないのね。
ほほほ