大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言グッズ

てて(父)・だだ(母)

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私:鍛冶橋のたもと、安川通りにある土産物屋でぐい飲みを見つけた。値段は390円。迷わず買ったよ。

君:なるほど、飛騨方言が側面に焼かれているわね。
私:問題としたいのは、てて(父)・だだ(母)。正直言って聞いた事がない。素性を明かさずにさりげなく女店主に・・・本当にこんな飛騨方言の言い方があるのですか?地元の方々は日常会話で両語をお使いになるのですか?・・・と聞いてみた。
君:返事は。
私:・・・飛騨は広いのでいろんな言い方があります・・・つまり、ゼロ回答。
君:それでは納得いかないわね。
私:いくわけないでしょ。またこういう些細なことでもアヤフヤにしておく事は私の沽券にかかわる。さてさて、「てて(父)」これはわかるよね。「ちち」から「てて」への音韻変化であるし、「ててなしご・父無子」という言葉もあるくらいだから。いわば東京語。というか「てて(父)」は全国共通方言だ。もんだいは「だだ(母)」だが、うーん、どうにも思い浮かばない。手元に私の携帯があるので、すかさず私のサイト「ザ・飛騨弁フォーラム」内を検索したが情報が無い。
君:旅先では八方ふさがりね。
私:帰宅して直ぐに調べて全て判明した。
君:特に「だだ(母)」について調べたのでしょ。
私:その通り。「てて・だだ」共に文献に出てくるのは飛州志だ。飛州志には飛騨方言紹介という事で両語の記載がある。つまり江戸語には当時、そのような言い方はなかった。蛇足ながら飛騨では父親を「てておや」、高山市国府町では老主婦を「ださま」というらしい。この事は土田吉左衛門「飛騨のことば」に記載があった。
君:一応、謎解きは終りね。
私:いやいや。「だだ・ださま」の語源は「おたたさま御-様」だ。更に「おたたさま」の語源は寝殿造りの「対(たい)のや・對屋」に住む御方の意の「おたいのやさま・御對屋様」の転。對屋には二種類がある。東西棟の寝殿に対して東や西の對屋は普通は南北棟、北の對屋は大邸宅に設けられ、これが更に東西棟になっている。
君:「だだ」は飛騨の一般庶民の言葉であったにせよ、その語源は平安時代の飛騨工(たくみ)が京都から飛騨にもたらした言葉だったようね。 ほほほ

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