大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 民俗学
はなもち(花餅)
私:飛騨は冬は雪に閉ざされるので生花の入手は困難、お正月に家の玄関を花で飾りたいという思いで、枝ぶりのいい木を盆栽に見立てて枯れた枝に紅白の餅をくっつける。全国各地にみられる文化だが、餅花、稲の花、などと呼び親しまれている。飛騨では、はなもち(花餅)。アクセントは平板なので、うっかり中高で発音しようものなら、佐七的には「あんたさま、飛騨以外のよそそのおかたですかいな」という事になるが、最近じゃ中高アクセントも多いだろうな。この場合はアクセント核が「な」。
君:花餅の美風は今でも飛騨の伝統を守りたいという気持ちの表れかしら、各御家庭でお飾りになるわね。
私:まあ、大抵ね。佐七の家では更には本物の松の枝に鈴なりに小道具をぶら下げて飾っていた。松の枝は当然ながら鴨居に引っ掛ける。松飾を見上げ、花餅を見下ろす。
君:正月が過ぎると片づけるのね。
私:花餅は長らく飾っておくね。但し、春の訪れとともに処分する。
君:処分といっても燃やすわけじゃないわね。
私:当たり前だよ。飛騨の伝統では、ひからびてしまった餅を全部、奇麗にはがして、洗ってゴミを落とし、そして油で揚げてアラレにして食べるんだ。更に我が家では亡き祖母が砂糖を焦がしてザラメを作ってこれをまぶしてくれた。懐かしい故郷・我が家の味、もう一度だけでいいから、食べてみたい気持ちになる。
君:飛騨の昭和男子は本当に駄目ね。そういう事をなさるのに年齢は関係なし。今こそ佐七君がやってみなくちゃ。
ほほほ