大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
すくべ(=わらしべ)
私:わらしべ長者、日本の昔話百選といったところか、このワラシベの事を飛騨方言では「すくべ」という。
君:現代人には無縁の言葉で、飛騨方言と言っても死語でしょ。
私:おそらくそうだろうね。俺って、小学生の時、冬は長靴の底に「すくべ」を入れていたけど。インナーソウルですわい。暖かいんやで。
君:そもそもが、わらしべとは。
私:長い藁は弾性が乏しく、ポキッと折れてしまう。これを防ぐために、しごいて加工が自由になるもの、それが「すくべ」だ。話が極端なまでにややこしくなって恐縮だが、小学館・日本方言大辞典の見出しは「すくぼ」だ。この漢字が極めて特殊で「禾 + 會」、康熙字典にある。意味としては稲の節(ふし)、あるいは、穀物を束ねる事。
君:漢検には絶対に出て来ないレベルね。
私:漢字の研究者以外には無縁の文字だろう。
君:どうでもいい事は話さない事。言いたい事をひと言でお願いね。
私:要するに、ワラ藁をクニャクニャにしたのが「すくべ」だが、これは新潟、岐阜、静岡、愛知の方言です。「すくぼ」そのものは稲穂から派生した意味が、これまた各種の音韻に変化して全国の方言になっているという事なんです。ハイ
君:じゃあ、「すくぼ」は古語ね。
私:いやいや、どこまで続くぬかるみぞ。実は古語は「すくも」です。やっと語源に会えました。うれじい
君:「すくも」とは。
私:もみがら、もみぬかの事です。或いは歌語としては、葦あし・萱かや、などの枯れたものを言う。後撰和歌集・恋三、 津の国の なには立たまく 惜しみこそ すく藻たく火の 下にこがるれ。
君:すく藻、って海藻の事じゃないの。
私:いやいや、元は稲穂の意味だが、藻屑はしけっているので、いつまでもくすぶり続けているという事なんですよ。
君:それはもう、お馬鹿さんの佐七君・焼棒杭やけぽっくいに再び火が付いた状態ね。
私:まあそんなところかな。命短し恋せよ乙女。結論を急ごう。「すくぼ・すくも」の語源って他カ四「すく梳」+「ほ穂」じゃないのかな。つまり動作からの発想。
君:さあ、それはどうかしら。「梳く」は「すく透」「すく掬」などと同根よ。さあ、漢和辞典へレッツゴー。
ほほほ