大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
すぼる(=くすぶる)
私:囲炉裏端で煙が出ているような状況「くすぶる」を飛騨方言では「すぼる」と言う。これは私の原体験そのもので、我が家には一年中、囲炉裏の火が絶える事はなく、これを囲んで食卓は勿論、大事な一家の団欒の場だったな。冬ともなれば客間の囲炉裏も活動し、ただしこちらは炭を使い、すぼる事は無かった。「すぼる」の語源は動バ下二「ふすぶ燻」。
君:つまりは、「くすぶる」の語源が「ふすぶ」というわけね。
私:うん、正にその通り。「ふすぶ」から「ふすぶる」「ふすぼる」が生まれた。中古の事。文献は省略。「ふすぶ」の連体形が「ふすぶる」になるし、用言の活用は洗練されるというか終止連体、已然仮定のような単純化の傾向がみられるのが日本語の歴史だね。ところが「ふすぶ」が廃れて、中世語「ふすぶる・ふすぼる」が主流となった。そして近世語では「くすぶる・くすぼる」に変化し、現在は「くすぶる」だけが生きている。「くすぶる・くすぼる」は日葡には記載が無い。
君:「いぶる燻」と同根かしらね。
私:多分ね。ただし「いぶす・いぶる」は近世語であり、御存じの通り自他対だ。蛇足ながら飛騨方言では自ラ五「いばる」という。ところで正にパブロフの条件反射だね、この原稿を書き始めたら、我が家のあの懐かしい囲炉裏の臭いが僕の脳ミソに充満してきた。
君:それは子供の頃に囲炉裏端で遊んだ事のある人なら誰でも共感できるわね。かあさんの歌・・故郷の便りは届く、囲炉裏の臭いがした。
ほほほ