大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
しょうけ塩気
私:飛騨方言で「しょうけ」と言えば、竹製品の台所用品でザルの一種・ショウケ、と共通語「しおけ塩気」の拗音化・ショウケ、この二つが同音異義語であり、然も台所に関係する生活同類語であるものだから混同していらっしゃる国民の皆様が多いのではなかろうか。
君:当然と言えば当然ね。そんなに大した問題じゃないわよ。
私:語源学という、所謂、学問の話ともなるとそうもいかない。両者は完全に語源を異にする言葉だ。炊き込みご飯、所謂、峠の釜めし、これは佐七の大好物で、飛騨方言は言うに及ばず全国共通方言になっているが、こちらの語源は、しおけ塩気+めし飯、の複合名詞。しおけ塩気、は古語「しほけ鹽気」の音韻変化。「しほ」は押しも押されもせぬ和語で、記歌謡(74)に志本の字があるから、古代語として「シホ」という音韻が存在していた事は疑うべくもない。
君:ほほほ、わかるわよ。その話の続きは。
私:そう、当サイトで繰り返し述べてきた話題、平安時代の音韻学上の大事件と言ってもいい「ハ行転呼」だね。ハフィフヘフォがワウィウウェオになった。さらにこれは中世以降はア行音になる。従って、シホ>シウォ>シオ(現代語)と音韻変化するのに十世紀かかった話。
君:日本語の悠久の歴史からすれば、飛騨方言で「シオケ」が「ショーケ」になったのは瞬時に近いわね。
ほほほ