大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム
せんだいも(2)
私:じゃがいもは飛騨方言では「せんだいも」という。高山市サイト情報を根拠に語源は飛州郡代「幸田善太夫」に由来する事、つまりは「ぜんだゆういも」の音韻変化である事を紹介した。
君:それでいいじゃないの。何か付け足す事でも。
私:手元に一冊の学術書がある。大修館書店「方言はなぜ存在するのか」。著者は大西拓一郎先生(国研教授)。
君:書にも「せんだいも」の事が書かれていたのね。
私:いかにも。p 38-9 あたりだ。
君:おめでとう。
私:いや、そうじゃない。
君:どういう事か、手短に説明してね。
私:同書では「せんだいも」の語源は「せんだい仙台」+「いも芋」であり、類音牽引が要因であると説いている。
君:確かにそのとおりじゃないの。
私:勿論。私も飛騨の方言にはまり込む前は、サツマイモという位だから仙台芋というのかな、と思い込んでいた。所謂、民衆語源。
君:つまりは高山市サイト情報、つまりは歴史の事実を無視している、と仰りたいのね。
私:その通りだ。文献的には、岐阜県(1968)、伊藤章治 (2008) 『ジャガイモの世界史』中公新書、『ジャガイモ事典』(いも類振興会 編, 2012年, 全国農村教育協会 出版) に幸田善太夫情報が記載されている。
君:反駁論文もあるのでしょ。
私:勿論、あります。山田敏弘 (2017).栽培用品種「インカのめざめ」の育成における北海道における研究開発の役割と展望.園芸学研究,16(1),21-27 などかな。
君:つまりは、決着がついていないのね。
私:民衆語源としての「せんだいいも仙台芋」説は素直に認めるが、飛州郡代幸田善太夫を無視する記述はおやめいただきたい。
君:まずはジックリと原著を読む事ね。
ほほほ