大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源
(尻を)はぐる
私:共通語「はぐる」は「めくる」の意味で近代語として出現した動詞なのでは、という事に二日ほど前に気づいた。古語辞典には記載がない。語源は、書かずもがな、他ガ五(四)「はぐ剥」だと考えるが、飛騨方言には各種の言い回しが残っている。「尻をはぐる」の言い回しを、着物の裾をまくしあげる、という意味で使っていると思うんだけれどね。
君:あまり聞き慣れないけれど、飛騨方言のセンスにあっていないか、といえば、そんな事はなさそうね。
私:ひとりで考えている事の限界、つまりは方言学の手法「内省」の限界というものだね。ところで他動詞である事から明らかな事、この場合の「尻」とは何の意味かな。
君:ほほほ、私をひっかけよう、って思ってもそうはいかないわよ。体の部分、つまりは、お尻、という事ではなくて、この場合の尻とは事物の後端の意味、例えば帳尻、つまり着物の裾という意味なのよね。その結果としてお尻が出るという事であって、この他動詞の目的語はあくまでも着物の裾という事を仰りたいのでしょ。これに関して、宇治拾遺2.9に他ガ四「はぐ剥(=着ている衣服をむき取る・脱がせる)」があるわよ。・・きぬをはきはべりつれば・・
私:いやいや、飛騨方言では、着物を脱がせる、という意味ではないんだ。
君:わかっているわよ、飛騨方言ではチラリズムの用法です、という意味ね。
ほほほ