大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

でこ(=人形)

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私:昨日は飛騨方言の副詞「でこ(=はなはだしく)」についてお書きしたが、今夜は一般名詞「でこ(=人形)」について。
君:副詞「でこ」の語源は「でかく」だったけれど、関連は無さそうね。
私:全くない。両語は同音異義語だ。「でこ(=人形)」は京都はじめ、全国共通方言だが、「でく」とも言う。語源は「でくのぼう木偶坊」。
君:「でこ木偶」という訳ね。「坊」については「人」を意味するという事でいいわよね。「でく木偶」とは。
私:浄瑠璃他、突然に近世文学に出てくる言葉で、当然ながら漢語。生成AIによれば・・木偶(でく)の中国語(北京語)読みは mù'ǒu(ムゥオウ)・・との事だが、真偽のほどは如何に。さて、これを元にいつもの佐七節だが、近世に中国からの輸入語「木偶」が日本語に加わった。江戸時代における中国語といえば、現代における英語のようなもので、当時の日本の知識人は「木偶」を北京語に似せて「ムウオウ」とお読みになったに違いない。
君:その後の物語はお書きにならなくてもわかるわよ。
私:まあね。簡単に行こう。ある日、誰かが「もくおう」と読んじゃったのだろう。暫くして「ぼくおう」と発音する輩も現れてしまう始末で、「ムウオウ」は遂に「ボク」になった。
君:そし「ボク」が遂に「デク」に。尚も言葉の暴走は留まるところを知らず、この言葉は多義語化して、人形のようにボーッとしている人を「でくのぼう木偶坊」というようになった、というわけね。 ほほほ

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