大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

あかし(=松の根)

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私:飛騨方言では松の根の事を「あかし」と言うのだが、これは結構、全国の方言になっている。語源は「あかし明・燈」
君:つまりは、火を燈すと暗闇が明るくなるから、という事からきているのかしら。
私:うん、半分正解だね。私は昭和28年の生まれで戦後の人間、幼少期の飛騨の寒村の生活は江戸時代に近かったと言えば大げさだが、我が家に白黒テレビがお目見えしたのが私が小4の時、それまではラジオ生活というような暮らしだった。電化製品と呼べるようなものは何もなかった。かまどで米を炊く、ふろを沸かす、囲炉裏に火をおこす、これ等の仕事に共通して必須なのが着火という事。松の根は樹脂が豊富で燃えやすい。つまりはマッチで火起こしをするのには、新聞紙に加え、乾燥した「あかし」・ほえ「細枝」・すぎば「杉葉」などのストックが必須なんだ。松の根は赤いのだが、色が語源ではない。
君:「あかし」は他サ四「あかす」の連用形ね。
私:その通り。古語的には灯火の意味で用いられる事が多いね。明らかにする、という意味に転じて「証」の意味が加わって現代語に至る。
君:「あかし」は着火用の松の根の意味で全国の方言になっているのね。
私:いかにも。戦後あたりまでは都市においてもマッチと共に必須の生活用品だったという事。喜界島では「ああし」の音韻だそうだ。
君:それでも「明かし」と「赤し」は同根よね。
私:そりゃそうだろ。上代には「あか」は「あかほし明星」のように明るいの意味にも、「あかこま赤駒」のように色が赤い、の意味にも用いられた。「あけ朱」も同じ意味。
君:とにかく松はよく燃えるのよね。たいまつ松明の語源は何かしら。
私:たきまつ焚松から来ているらしいね。古語としては単に「まつ」と呼ばれていたのが、「たてあかし」「たちあかし」「まつび」「まつあかし」「あかしまつ」などの呼び名も生まれた。このようにボウボウと燃える松ではなく、今回の「あかし」は着火用のチョロチョロとしたもの。ここ
君:あら、子供のお手伝い、お利巧さんね。 ほほほ

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