この動詞は実は共通語以上に意味が多く、飛騨方言独特の動詞です。
日常会話では受身・可能などの意味で用いられる事は少なく、
最も多く使用される用法が尊敬表現です。
つまりは、共通語の言い回し・おみえになる、の意味で用いられる事が
大半でしょう。例えば、
たった今、県知事がみえました。
という言い方ですが、視界に入った、という意味は全くありません。
飛騨方言では、県知事がおみえです、という意味なのです。
従って、挨拶文にも、尊敬表現・みえる、が用いられます。例えばどなたかが
拙宅の玄関先で、
これっ、さしちさあ、みえるがいな?
と発するとします。意味は、ごめんくださいませ、佐七さん、いらっしゃいますか?、
である事は書かずもがな。
行く、来る、などの尊敬表現としても用いられる事が多いでしょう。
例えば、女子社員が他の社員に
社長さんはあっちからみえたよ。
と言ったとしましょう。社長さんがあちらの方角の視界にある、という意味ではありません。
社長さんがあちらから来られました、という尊敬表現なのです。
ついでですか、飛騨方言の話者がどなたかに、
あんたぁどっからみえたんじゃいな?
とお聞きする意味は、あなたはどこからいらしたのですか、という尊敬表現に
なります。
このように、あらゆる場合に、みえる、を用いた尊敬表現が可能になります。
動詞の連用形+みえる、の言い回しです。
共通語・こられる、は、飛騨方言・来てみえる、になります。
見ていらっしゃる、は、飛騨方言では、みてみえる、になります。
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