飛騨方言形容詞。
意味は、かわいそうな、正視に耐えない。
共通語の意味、小さく美しいものに愛着を感ずる、
はありません。
語源辞典に詳しいのですが、
飛騨方言の用法は古語に由来する嘗ての
中央の言葉です。
そもそも、共通語・かわいい、の語源は、
かほはゆし・顔映し、ですが、
つまりは、顔がまばゆい、転じて
きまりがわるい、という悪い意味であったようです(和泉式部集)。
ところが、かほはゆし、から、かはゆし・形ク、
という言葉が既に平安時代に生まれ
(右京大夫集、意味は、はずかしい、おもはゆい)、
かはゆしは、さらには鎌倉時代には、
可哀想でみていられないという意味になり(徒然草)、
江戸時代には現代共通語に通ずる、愛らしい・いとおしい、
という意味に変化します。
日葡辞書には、かわいそうだ、の意味での記載があり、
江戸初期までは、かわいそうだ、の意味であったようです。
明治初期の国語辞書・言海、には、
かはゆし(恥ずかしい)、かはゆらし(愛すべし、愛らし)、
の記載かあります。
つまりは江戸時代から明治にかけて、中央では更に言葉の意味の
変化があったのです。
この点、飛騨方言で、かわいそうだ、と言う意味で、
かわいい、という言い方は極めて古典的、
室町〜江戸初期までの中央の言葉が
現代に至るまでかたくなに語り継がれてきた結果、
つまり語の意味が変化しなかったからだ、と言う事が
最早、皆様がご理解できたでしょう。
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