古語辞典に、あれ彼・遠称の代名詞・人、事物、場所、時を示す・
あの人・あの物・あそこ・あの時、との記載があります。文型は、蜻蛉・平家・
宇治拾遺・謡曲安宅、と続きますので平安から室町まで使用されていたのですね。
飛騨方言では実は未だに、あの人・あの物、の意味で使用される代名詞です。
古語辞典の通りですが、当時は彼氏・彼女の区別なく両性に、あれ彼、を用いていたのですね。
ところが英語では、ヒー・シーで区別しているからとて、明治から彼女と言い出したのでしたっけ。
余談はさておき、飛騨方言では男女の区別なく、人・物の区別なく遠称は、あり、です。
何故、あれ、ではなく、あり、になってしまったのかには理由がありましょう。
飛騨方言の人称代名詞の成立に関する歴史考察
をご参考までに。
例文ですが思いつくままに・・・
ありゃ私の家内です。 −>彼女は私の家内です。
ありゃ私の父です。 −>彼は私の父です。
ありゃ私の本です。 −>あの物は私の本です。
ありに伝えておきます。 −>彼女に伝えておきます。
ありに伝えておきます。 −>彼に伝えておきます。
ありに塩を足す。 −>あの物に塩を足す。
ありを誘わんにゃなあ。 −>彼女を誘わなくてはね。
ありを誘わんにゃなあ。 −>彼を誘わなくてはね。
ありをあらわんにゃなあ。−>あの物を洗わなくてはね。
それほど不自然ともいえないでしょう、
飛騨方言にも、あそこ・あの時、の言い回しが
あるのかも知れませんね。内省しますと・・
ありゃ広いどこやったなあ。−>あの場所・あそこは
広かったねえ。
ありゃあんでよがったさ。 −>あの時はあれで
よかったよね。
うーむ、やはり、飛騨方言あれ、には、
彼氏・彼女・あの物・あそこ・あの時、の五つの
意味がどうもあるようですね。実は遠称のエースカード・あり。
これであなたも飛騨方言名人。しゃみしゃっきり。
飛騨方言の人称代名詞