大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学

等語線

戻る

私:学術用語「等語線 isogloss」について。読んで字の如し、国境線と言えば国同士の境なので、方言の境界線を等語線と呼ぶ。
君:江戸時代の国単位、飛騨方言とか美濃方言というし、一般的にはお国の境が等語線ね。
私:うん。明治35年(1902年)に文部省に設置された国語調査委員会が全国的な方言調査を施行し、東西方言境界線を科学的に解明・地図化した事を嚆矢としたい。東条操の方言区画論、1953年に出版された著書『日本方言学』、がこれに続くかな。最近の論文は微に入り細を穿つ記載になっている。
君:サンプル数が莫大になるといろんな事がわかるのね。
私:うん。更には等語線は韻的等語線(isophone)、語彙的等語線(isolex)、文法的等語線(isomorph)の三つに分かれるが、これも読んで字の如し。書き出せばきりがない。
君:今日は平凡なお話ね。
私:それでは面白くないので、一言、等語線について申し上げたい。
君:異論を唱える、という積りかしら。
私:そんなところ。つまりは言葉の境界を一本の線で地図に表すのはあまりにも短絡思考だと思わないかい。人が住まない山の中や川の真ん中に言葉の線があるわけがない。実際には人口密度と、そしてその言葉を何割の人が話しているかも重要。つまりは地図に表現すべきはグラデーションであり、線ではないと思う。更には、NTT電話音声コーパス、つまりは日本語の自然な発話の特徴(言い淀み、相槌、言い直しなど)を捉えた研究などは真の学問と言えるだろうが、数百人にちょいと聞き込みしたとか、調査票を郵送した程度のものでは誤差が大きすぎて、あまり等語線の研究とは言わないでしょう。全国規模のビッグデータが方言学の対象だと思う。
君:NTT電話音声コーパスは個人情報保護法に抵触しないかしら。
私:同意の取得、個人情報の除去、匿名加工情報、という事で徹底して保護法にのっとって運用されているんだよ。
君:あらあら、それじゃ方言じゃなくなっちゃうわよ。 ほほほ

ページ先頭に戻る